「G空間情報を活用した農業機械高精度測位システムの実証」について

2016年3月30日

NTTデータカスタマサービス株式会社

NTTデータカスタマサービス株式会社は、総務省より「G空間情報を活用した農業機械高精度測位システムの実証」案件の採択を受け実証実験を行いました。
 現在、日本の農業においては、農業従事者の高齢化、1軒当たりの耕作面積増加、農業機械を扱える作業者不足、TPPなどによる市場競争力の激化などの要因により、トラクターなど農業機械の自動走行及びそのための高精度測位システムのニーズは高まりつつありますが、生産者が自前で用意するには導入コストが高止まりしており普及の課題となっております。

 本実証は、GNSS*1を使用して測位を行うRTK方式*2の農業機械システムに対して、RTK仮想化方式*3を用いることにより測位精度・有効距離を向上させるとともに、複数生産者にてシステムを共有化し設備・運用コストを低減することにより農業機械自動走行の導入推進を目的としております。 先に実施した「IT農業の振興に向けた「高精度GNSS情報インターネット配信システム」実証研究」においては、RTK方式を用い、基地局から補正データを移動局に供給することで、基地局との距離10kmにおいてcm精度の農業での利用確認が取れたため、現在、北海道4地域、関東1地域においてGNSSシステム稼働中です。

 本実証にて使用したRTK仮想化方式は、RTKの発展方式で、基地局を複数用い、基地局間を結ぶ基線長の範囲内を有効範囲とし、移動局位置に仮想基準点を想定して各基地局の観測データよりその地点の補正情報を作り出します。今回、東京海洋大学の協力を得て本実証を実施致し、基地局間30kmにおいてcm精度の測位が可能なこと、農業にて利用できることなどが確認されました。

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                 図:農業機械測位システム構成

 NTTデータカスタマサービスは、本実証成果を展開し、高精度位置情報活用インフラによる大規模・省力化技術の推進を目指し、日本の農業のさらなる発展に貢献します。



*1:「GNSS(Global Navigation Satellite System)」 は、 GPSや準天頂衛星などの人工衛星を利用して地上の位置を計測する、全地球測位システムです。
*2:「RTK(Real Time Kinematic)方式」は、既知点に設置する基地局と移動局から構成され、2地点の受信電波の位相差を計測して測位計算を行う、干渉測位方式です。
*3:「RTK仮想化方式」は、RTK測位方式の発展型で、複数の基地局情報から移動局の位置を計測する、本実証で採用した仮想基準点方式です。RTK方式よりも基地局の有効範囲を広げることが可能となります。

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