Project-04
日本の道路を走るすべての車の情報は、国土交通省の大規模システム上で管理されている。 そのシステムが、自動車登録検査業務電子情報処理システム「MOTAS」だ。 NTTデータカスタマサービスは、NTTデータと連携して長年にわたり同システムを支えてきた。 そして2023年1月には、6次更改にあたる「MOTAS 6」を始動。 更新の最大のポイントは“車検証の電子化”だった。 全国の人々の生活に直結する公共システムを進化させる。 そんな大仕事に挑んだ、プロアクティブ推進本部のメンバーの活躍に迫る。
T.W
2002年入社
プロアクティブ推進本部
Y.T
2005年入社
K.H
2019年入社
M.Y
2021年入社
Question 01
取り組んでいるプロジェクトにおける役割について教えてください。
「MOTAS」は、国土交通省(以下:国交省)の登録管理室と全国95ヶ所の運輸支局などをオンラインで結び、情報をリアルタイムで処理するシステムです。 その6次更改にあたる「MOTAS 6」の計画が始まったのは2021年1月のこと。 私は計画当初からNTTデータへ出向し、システムを構成する機器関連の工事を管轄する端末チームでプロジェクトマネージャーを務めました。 国交省やNTTデータの意向を汲んで機器を選定し、実際の工事を手配するNTTデータカスタマサービス(以下:CS)と連携を図ることがミッション。 社会的影響度の大きなシステムだけに、工事の失敗や延期は許されない状況でした。
私はT.WさんたちNTTデータ側の指示に準じて、全国の工事を手配するCS側のリーダーを務めました。 中央の登録管理室と日本各地の運輸支局で職員の方が使用する機器を、古いものから新しいものへと更改する工事の設計・調整が主な役割です。 機器の種類としては、パソコンやレーザープリンターのほか、ユーザーが書いた情報を読み取るためのスキャナーや、電子車検証を発行するためのカードプリンターなども。 これらを全国の拠点に導入して無事に稼働させるために、実際の工事を行うCSの各支店や営業所のメンバーに対して適宜情報を共有しました。
T.Wさん率いるNTTデータ側の端末チームに加わり、機器の更改工事に関する上流工程として、関連する資料の作成を担いました。 機器の使い方や不具合が発生した際の改善プランをまとめたドキュメントを作成し、成果物として納品することが私の重要な任務。 完成度の高い資料を作るためには、端末に関する情報だけでなく、アプリやサーバーなどシステム全体を構成するほかの要素についても知る必要があり、それらを管轄するグループ会社の他チームとも連携を図りました。 また、実際に工事や保守作業を行う作業者向けの手順書も作成しました。
CS側のチームメンバーとして、工事の設計・手配を行いました。 全国におよそ200ヶ所あるCSの拠点には、グループ会社のNTTデータカスタマサービステクノロジ(以下:CST)のメンバーが配置されており、実際に工事作業を行うのはCSTのカスタマエンジニアです。 私は彼らに対して工事日程や作業内容を連携するほか、現場から吸い上げた情報をNTTデータ側に伝え、課題解決のサポートにも取り組みました。 情報共有はプロジェクトにおける重要な鍵。現場やCSチームはもちろん、NTTデータ側とも頻繁に打ち合わせを重ねました。
Question 02
苦労した場面と、その乗り越え方について教えてください。
機器の設置工事までは想定通りうまくいったのですが、新システムへと切り替わった直後、予想外のトラブルが相次ぎました。 私たちの元では問い合わせの電話が鳴り止まない状況に。 システム切り替えのタイミングは急遽の対応が必要となるケースが多いので、当初から各運輸支局にカスタマエンジニアが立ち会うよう手配していたのですが、トラブルのため立ち会い期間を大幅に延長することになりました。 当時はCSTの繁忙期であることを知っていたので心苦しかったものの、なんとか都合をつけてもらい対応しました。
プロジェクトを進行した2年間は、ちょうどコロナ禍の真っ只中。 社内でも特に大規模なプロジェクトを、慣れないオンライン環境で進めなければならないことに当初は苦労しました。 それから、コロナの影響は機器の調達面にも及びました。街がロックダウンされた影響や従業員の欠員などが原因で海外工場が稼働せず、機器メーカーから納期が大幅に遅れると連絡を受けたのです。 そこで社内に掛け合い、納期にゆとりがあるほかのプロジェクトで確保していた機器をこちらに回してもらうなどして、なんとか予定通りに調達を済ませることができました。
お客様への納品物として作成するドキュメントは、社内向けの資料と比べてさまざまな点が異なりました。 どう表現すれば間違いなくお客様に伝わるのか。ドキュメントの隅々にまで神経を巡らせ、ベストな資料としてまとめ上げることに苦労しました。 意識していたことは、もっとも重要な結論を伝えた上で、その根拠を示すこと。 私が作成した資料はNTTデータの管理者がチェックしますが、そこで修正の指示を受けて何度もやり直しを重ねた末にようやく完成することが多かったです。 それぞれの作業には締切もあり、スケジュール管理も重要でした。
T.Wさんが触れたように、新システム切り替え直後のトラブルは私にとっても一番の難所でした。 全国の運輸支局などに設置したアクセスポイントのバグや、機器が想定通りに動かないといったトラブルが相次ぎ、急な対応を迫られ戸惑うことも。 CSTのエンジニアだけではカバーしきれなかったため、私たちも現場へ急行しました。 チーム全員で役割を分担しながら懸命にリカバリー対応にあたり、なんとか復旧できた時には心から安堵しましたね。 非常に苦労しましたが、CSTの協力とチームの一体感があったからこそ危機を乗り越えられたと感じます。
Question 03
どのような部分にやりがいを感じましたか?
「MOTAS 6」は全国の運輸支局に配置した機器を通じてシステムを利用できるので、現場での工事・保守作業が特に重要で不可欠な要素です。 その現場を統括するCSは、NTTデータグループ各社が参加するこのプロジェクトのなかでも大きな役割を果たしたと感じます。 実際に新システムの始動を迎えた際には、プロジェクト全体を指揮するNTTデータの管理者から「CSのみなさんがいたから新システムを実現できました」といった感謝の言葉をいただきました。 私自身はCSチームとNTTデータの掛け橋として、両者の連携を強めることに貢献できたと感じています。
当初はコロナの影響が心配されましたが、なんとか予定どおりに工事を終えられて安堵しました。 私たちが心がけたのは、とにかく念入りに準備をすることです。 例えば、CSTのカスタマエンジニアに向けた作業指示書を作った際には、それが本当に十分な内容であるかを検証するために、あえてM.Yさんたち若手メンバーに実際に作業をしてもらい確認しました。 若手が見ても理解できる内容ならば合格です。 このようにメンバーそれぞれが役割を果たしながら、全員で一丸となってミッションに取り組めたことに喜びを感じます。
検討や準備期間を含めて2年の歳月を費やしたこのプロジェクトは、決して平坦な道のりではなかっただけに、新システムに切り替わった節目には大きな達成感を感じました。 とはいえ、今も対応中の課題が残っているので、まだまだ気を引き締めて臨んでいきたいです。 「MOTAS 6」は日本全国のたくさんの人々に利用される公共システムなので、家族や友人との会話で車検の話が出た時などに誇らしい気持ちになります。 自分の仕事が間接的に大切な人たちを支えていると実感すると、とてもうれしいものです。
「MOTAS 6」は車検証を紙からICチップへと変えて電子化したことが世間から注目を集め、ニュースなどでもよく報じられていました。 新システムに切り替わったタイミングにはSNSでも話題になっていて、本当にたくさんの人が注目しているのだと実感しました。 自分自身が関わったプロジェクトが、こうして世の中の多くの人にとって身近な公共サービスをつくっていると感じると、やはりやりがいが大きいです。 車検証が電子化されたことで、今後はほかの公的システムとの連携も予想されます。 さらに便利になっていくことが今から楽しみです。
Question 04
このプロジェクトを通してどのように成長しましたか?
これまで経験したプロジェクトのなかでも今回は上流工程を担いました。 機器に関することだけでなく、ソフトウェアやアプリ、OSの知識も求められたため、新たに学ぶことが多く非常に良い機会となりました。 上流工程を知ったことで、CS側が担う業務の質向上や効率化にも貢献できるはずです。 また、これまでに経験がないほど大規模な案件だったので、プロジェクトマネージャーとしてもより広い視野が養われたと感じます。 今後は軽自動車システムの更改を予定していますが、今回の経験を活かして成功を目指します。
プロジェクトを通じて、改めてチームワークの重要性を実感しました。 私たちCSチームにはM.Yさんを含めて4名のメンバーがいましたが、その全員が十分に力を発揮したからこそゴールに辿り着けたと感じます。 私はリーダーとしてメンバーに指示を伝えたり、一人ひとりの状況を把握するといったマネジメント面でも成長できたように思います。 「MOTAS 6」はさまざまなシステムやデータと連携することで、新たなサービスを生み出せる可能性を持っています。 ぜひ新しいことにチャレンジして、デジタル社会を実現させていきたいです。
チームは少人数で構成されていたので、一人ひとりの担う役割が大きかったと感じます。 必然的に多くの業務に対応する必要があり、優先順位をつけて漏れなく進めるタスク管理能力が磨かれました。 今後は「MOTAS 6」の安定稼働とエンドユーザーの業務負担の軽減を目指していきます。 それと同時に、CSとしても効率的で確実な仕事を目指すために、より良い方法を模索する必要があると感じています。 全国におよそ200の拠点を構えるCSでは拠点ごとの差異が生まれやすいため、共通化が大きな課題。 今後もプロジェクトメンバーとともに励んでいきたいです。
私にとっては初めての大規模プロジェクト。 お客様である国交省をはじめ、NTTデータ、メーカー、そして全国の支社・営業所など、多くの方と連携する良い経験ができました。 国交省の方と直接やりとりする場面もあり、エンドユーザー視点の大切さを学びました。 「MOTAS 6」は現在、運用・保守のフェーズに入っています。 機器の利用頻度が非常に高いシステムなので、保守作業がとても重要。 例えば、通常のプロジェクトでは機器の定期点検は年に1回程度ですが、「MOTAS」では年に4回もの点検を実施します。 今後もこの重要な使命を全うしたいです。
記載された写真および原稿は取材当時のものです。