耕作放棄地を活用し営農型太陽光発電所を建設
~電力事業と農業を両立させたサステナブルなビジネス拠点~
静岡ガス&パワー株式会社 様

2.5ヘクタールの広大な敷地に設置された太陽光パネルの下に、ネギとニラの青々とした畑が広がる。静岡ガス&パワーが2023年、静岡県袋井市に開設した営農型太陽光発電所。ここはかつて、耕作放棄された土地だったが、今では、電力事業と農業を両立させたビジネス拠点として、経済界のみならず高校や大学などからも注目が集まっている。
太陽光パネル設置や発電設備の施工から、計画の住民説明、行政への許認可申請までNTTデータカスタマサービスがサポートし、発電所の運転開始以降は保守点検も担当。計画策定からアフターケアまでトータルで事業を支えている。
営農型太陽光発電所は、環境や社会に配慮したサステナブルな経営戦略が求められる時代にあって、静岡ガス&パワーが掲げる再生可能エネルギー戦略の象徴的施設となっている。

導入の背景のポイント
- 震災後の計画停電で電力供給がストップ。地域への安定的電力供給が求められた
- 大規模太陽光発電施設の開設には、広大な敷地が必要だった
- 営農型太陽光発電所は、耕作放棄地の再生とともに、カーボンニュートラル実現が期待できる
導入の反響と成果のポイント
- テレビ、新聞や大学・学校が注目し、取材や見学の申し込みが相次ぎ注目度がアップ
- 静岡ガスグループの企業理念(エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続可能な未来を追い求めます)を体現する施設に
- 再生可能エネルギーに取り組む企業としてイメージアップに貢献
「営農型」で土地確保 施設の規模拡大で発電力増大を目指す

静岡ガス&パワー株式会社
総務グループ
前田 裕也 氏
「持続可能な太陽光発電所開発と社会課題の解決のため」
静岡ガスのグループ企業として、営農型太陽光発電所の管理・運営する静岡ガス&パワーの前田氏は、同発電所開設に至る背景をこう説明する。東日本大震災の計画停電により、県民生活や産業に大きな影響が出た経験から、静岡ガス&パワーは、地域への安定的なエネルギー供給を目指して電力事業に参入した。その後、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて再エネ事業にも参入し、持続可能な再エネ開発のため、営農型太陽光発電所の開発に取り組んだ。
なぜ、営農型だったのか。それは、耕作放棄地ならパネル設置のための広大な敷地を確保できるためだった。しかも、農地の再生を図ることで地域活性化に貢献でき、温室効果ガスの排出量と緑化による吸収量を均衡させることで温室効果ガス排出ゼロを目指すカーボンニュートラルも実現できる副次的効果があった。パネル下の農地耕作については、地元の農業法人をパートナーとし、2023年5月、運転を始めた。
営農型太陽光発電施設は、敷地の形状に合わせて設置する従来型の施設とは異なり、パネルの下で農作業ができるように一定の高さの確保が必要。支柱を建てて屋根部分にパネルを載せる架台構造で、架台の傾きやゆがみを防ぐなど、施工には緻密な造成設計が求められた。
NTTデータカスタマサービスはビジネスソリューションのひとつとして「農業×グリーンエネルギー」を打ち出しており、静岡ガス&パワーは複数社の中からNTTデータカスタマサービスを施工業者に選定した。前田氏は、NTTデータカスタマサービスの優位性について、「計画の早い段階から密にコミュニケーションを図り、レイアウトなどの要望に柔軟かつ的確に反映していただいた」と指摘。周辺住民・行政との折衝での高い調整力や、運転開始後の迅速・確実なメンテナンス体制にも言及し、「企業として信頼性、安心感があり、自治会との協議が非常にスムーズに進んだ。現場運営の円滑化と高品質の確保にも大きく貢献していただいている」と評価した。
メディアや教育機関が注目し、取材や見学が殺到
企業理念を体現する施設

栽培中のニラ

栽培中のネギ
発電と農業。一見かけ離れた2つの産業が共存するビジネス現場として、同発電所は注目を集める。開設にあわせてテレビ局や新聞社の取材の問い合わせが相次ぎ、静岡県内の高校や大学から多くの見学申請が寄せられた。新入社員の採用に際しても、再生可能エネルギーに関心をもつ学生が増えており、静岡ガスグループのシンボル的存在として、企業イメージの向上に貢献している。
畑には現在、ネギとニラが栽培されているが、開設当初は一面、蕎麦が栽培された。初年度は収穫した蕎麦を加工し、同社の食堂や社員向けに販売した。SNSでも公開し、静岡ガス&パワーの太陽光発電事業の認知度の向上につながった。
ところが、栽培2年目以降は蕎麦が不作となり、ネギとニラに栽培品目を転換した。蕎麦を辞めたのは、営農型太陽光発電に課せられた「単収8割要件」(周辺農地で同作物を栽培した場合との比較で8割以上の収穫を維持する)を満たせそうになかったから。これに対してネギは、一定量が収穫できており、市場出荷を通じて地域との新たなつながりも生まれている。こうした農業面での成果も踏まえて静岡ガス&パワーは、営農型太陽光発電所について、「豊かで持続可能な未来を追い求めます」という企業理念を体現する施設と位置付けている。

今後の展望と期待
一層の普及が見込まれる「営農型」 参入目指す他社との知見共有も
発電事業と農業を両立し、利益を上げている営農型太陽光発電だが、運転開始以降、常に順風満帆で事業が推移してきたわけではない。過去には、農作業により太陽光発電設備が故障する事案が発生し、一時的に発電を停止させたこともあった。このときは、NTTデータカスタマサービスの素早い修繕対応で、短時間で発電が再開できた。
同社のこうした対応について、前田氏は「他ではなかなか見られない、施工だけでなく、運用後の定期点検、軽微な点検、トラブル発生時の修繕作業も迅速に対応いただけるのはNTTデータカスタマサービスならではのサービス。手厚いサポートにより、安心して営農型太陽光発電所の運営ができており、今後も同様のフォローを期待する」と信頼を寄せる。
静岡ガス&パワーにとって、電力の安定供給は最優先目標で、同社は今後も太陽光発電所の開設を進めていくとする。しかし、静岡県内に大量のパネルが設置できる大規模用地は少なく、「稲作などの耕作放棄地を活用した営農型太陽光発電所は、ビジネスモデルとして今後、拡大、普及していくのかなと思う」と、前田氏は語る。その上で「安心できる事業者と一緒に事業展開していきたい。また、営農型太陽光発電所をやってみようという同業他社に対し経験を共有することも可能」と将来を見据えた。
