約3年にわたる院内基幹ネットワーク・仮想化基盤の刷新プロジェクトを完了
~止められない医療現場を支える「安全で安定したIT基盤」を実現~

地方独立行政法人 堺市立病院機構 堺市立総合医療センター様

地方独立行政法人 堺市立病院機構 堺市立総合医療センター様

地方独立行政法人 堺市立病院機構 堺市立総合医療センター様は、高度急性期医療を担う地域の中核病院として、地域医療の発展に貢献するとともに、先進的な医療提供体制の構築や医療情報システムの高度化に取り組まれています。
当社は、質の高い医療サービスの継続的な提供を支える「安全で安定した医療ITインフラ基盤」の実現に向け、約3年にわたり、院内基幹ネットワークおよび仮想化基盤の刷新をワンストップでご支援しました。

概要

堺市立総合医療センター様では、電子カルテをはじめとした医療情報システムの高度化に伴い、主に3つの観点で医療ITインフラ基盤の刷新が求められていました。

  • ITインフラ基盤の老朽化や医療情報システムの高度化に対応するための、ネットワークシステムの性能・信頼性の向上
  • サーバー集約による、ラックスペース、消費電力、冷却コストの削減に向けた仮想化基盤の刷新
  • 24時間365日稼働が求められる医療現場における安定運用と保守対応レベルの向上

当社は、院内基幹ネットワークおよび仮想化基盤の設計構築から保守運用を、ワンストップでインテグレーションすることで、安心・安全な医療ITインフラ環境の実現に応えました。

ネットワーク概略図

ネットワーク概略図

導入内容

◆ 院内基幹ネットワークの刷新

院内基幹ネットワークは複数メーカーで機器が構成されていたため、障害発生時の原因究明や復旧過程が複雑化し、保守・運用業務の負荷が大きな課題となっていました。そこで当社は保守・運用性の向上をテーマに、これまでの保守運用業務で培ったノウハウを活用して、機器構成を見直し、機器メーカーを統一しシンプル化することで、故障時の切り分け対応を容易にするなど、保守・運用性の向上を実現しました。

特に無線LANについては、導入するアクセスポイントの性能向上に伴い、現行よりも機器台数の削減を行うとともに、無線LANに接続するバックボーンの最適化等、コスト低減にも取り組みました。また、情報システム課のご協力により、事前に検証機を利用し無線LANを利用する他の部門システムへの影響調査を実施することで、移行時の院内業務への影響を最小限に留めました。

アクセスポイントを約100台削減し、安定したネットワークを実現

今回のネットワーク刷新に関し、いくつかの内容について、堺市立総合医療センター様にお尋ねし、回答をいただきました。

今回の院内基幹ネットワーク(無線LAN)刷新において、特に期待されていたことや導入後に感じられた効果について教えてください。

一番期待したことはやはりネットワークの安定性です。旧無線LAN製品は独自性が強い製品であり、通信障害における原因、復旧に手間取ることもありました。また、初期導入の2015年当時ではまだあまり普及していなかったスマートフォンによるIP電話を導入しました。導入の際、ローミングの発生を抑えるためシングルチャンネルを採用したのですが近年のWindowsアップデートなどのデータ量が大幅に増え、帯域が圧迫されることもありました。更新にあたっては、マルチチャネルへの切り替えと安定性の確保を重視しました。そのため、これまでマルチベンダーで組んでいた有線LANやファイアウォールを、単一ベンダーに集約・一元化することにしました。これらの課題や更新方針に基づいて仕様を策定・選定した結果、NTTデータカスタマサービスを採用し、同社の基本設計のもとで無事に更新を完了することができました。

導入後、無線LANの機能が大幅に向上しました。アクセスポイントの設置台数を100台近く削減できたにもかかわらず、院内全体をしっかりとカバーでき、通信帯域の負荷も大幅に軽減されています。また、運用開始後から現在に至るまで、重大なネットワーク障害は発生しておらず、安定した通信品質を維持しています。コアスイッチから末端のエッジスイッチ、無線LAN、ファイアウォールに至るまで単一ベンダーで統一したことで、機器間のトラブルもなくなり、管理・運用面での負担も軽減されました。

さらに今回の刷新に伴い、外部からのリモート接続環境の改善や、診療系ネットワークにおけるセキュリティの向上も図ることができました。

ネットワークの安定化と運用効率化、そして安全性の向上を高いレベルで両立できた今回の取り組みには大変満足しています。今後はこの強固な基盤を活かし、さらなるセキュリティ強化と安心・安全な医療環境の構築を進めてまいります。適切な基本設計と手厚いサポートを提供してくれたNTTデータカスタマサービスには非常に感謝しており、今後の支援にも大きく期待しています。

24時間安定稼働が求められる最重要インフラ

堺市立総合医療センターでネットワーク刷新を担当された同センター法人本部DX推進センター情報システム課長の山根氏と同課長補佐の西尾氏にインタビューし、回答をいただいています。

地方独立行政法人 堺市立病院機構 法人本部 DX推進センター 情報システム課 課長 山根 貴久 氏

地方独立行政法人 堺市立病院機構
法人本部 DX推進センター 情報システム課
課長 山根 貴久 氏

病院のネットワークは、24時間常につながっている必要があります。当院は三次救急を担っていますが、現在の診療はシステムが使えなければ成り立ちません。システムが止まれば、救急患者の受け入れにも影響が出ます。その意味で、ネットワークは今や病院にとって最重要の設備の一つです。電子カルテが一時的に使えなくても、ネットワークが生きていれば、別のシステムを使ったり、何らかのリカバリーをしたりすることはできます。しかし、ネットワークそのものが止まってしまえば、ほぼすべてのシステムが止まってしまいます。だからこそ、ネットワークが最も重要な基盤になっています。医療では診療記録を残さなければなりません。現在は紙カルテがなくなり、電子カルテが中心になっています。そのため、ネットワークが止まると診療記録を適切に残せないことが大きな問題になります。「そういう意味でも、ネットワークは医療にとって絶対に欠かせないインフラです」と、山根氏はネットワークの重要性を語りました。

今は医療機器もほぼすべてネットワークにつながっています。例えば手術支援ロボットの「ダビンチ」も外部と接続し、機器が正常に稼働しているかを確認したり、ログを取得したりしています。一昔前なら、「つながった、よくつながりましたね」という感覚だったと思います。しかし今は逆に、つながっていて当たり前。つながらなければ問題になる時代です。「それだけネットワークは医療を支える重要なインフラになっていますし、その基盤を支える業務の重要性も非常に大きい」と、西尾氏も医療現場におけるネットワークの重要性を指摘した。

地方独立行政法人 堺市立病院機構 法人本部 DX推進センター 情報システム課 課長補佐 西尾 真雄 氏

地方独立行政法人 堺市立病院機構
法人本部 DX推進センター 情報システム課
課長補佐 西尾 真雄 氏


◆ 仮想化基盤リプレース

仮想化基盤のリプレースでは、将来の拡張性や可用性等を考慮した最新アーキテクチャをもつアプライアンス製品により構築を行いました。不測の事態でも院内業務を止めないことを最優先に、製品選定からシステム構成までを検討するとともに現行システムからの移行リスクを最小化するため、緻密な移行計画の策定やリハーサルを実施し、トラブルなく移行を完了させました。

仮想化基盤上で9台のサーバーが安定稼働

今回の仮想化基盤刷新において、印象に残っている点や評価されている点を教えてください。

病院のシステム停止は医療業務に支障をきたすため、現行の仮想化基盤からの移行がスムーズに行えるか大きな不安がありました。しかし、カットオーバー時のわずかな時間のみで切り替えが完了する仕組みにより、現場への影響をほぼゼロに抑えて移行できました。

また、本基盤は拡張性にも優れており、導入後から現在に至るまで、ゲストの新規追加や変更に伴うハードウェア拡張にも柔軟に対応できています。無駄なコストを抑え、費用負担の軽減を図れた点も含め、業務継続性を第一に考え抜かれたシステム設計と拡張性の高さを非常に高く評価しています。

現在では、この新たな仮想化基盤上で9台のサーバーが安定して稼働しています。トラブルもなく安全に運用できており、当院の重要な業務基盤として大きな安心感につながっています。適切な設計から円滑な移行、アフターフォローまで一貫して支えてくれたNTTデータカスタマサービスには非常に感謝しており、今後も心強いパートナーとして期待しています。

リプレースは安全性最優先、トラブルなく完了

リプレースは安全性最優先、トラブルなく完了

「仮想化基盤については、日中に作業するのはなかなか難しいため、夜間に作業を行いました。実際の作業自体は終わっていますが、その後、一晩かけてチェックするという進め方でした。作業をあまり詰め込みすぎると、どこかで確認漏れが出る可能性があります。そのため、NTTデータカスタマサービスには安全性を優先して、きちんと余裕を持ったスケジュールを組んでもらいました。現実的なラインで、丁寧に作業を進めてもらえたと思います」と、山根氏は当時を振り返りました。


◆ 保守・運用

当社の特徴の一つが、24時間365日システム稼働を支える監視・障害対応サービスと現地へ駆け付けを可能にする全国サービスセンター網です。今回は、このアセットを活かしご提案させていただきました。

定期保守によるシステムの安定稼働に加え、万一の障害発生時には、現地への駆け付けを含む迅速な故障切り分けから原因究明、復旧まで対応できる体制を整えています。

ネットワークからシステムまで一体的にサポート

約3年にわたる本プロジェクトを通じて、NTTデータカスタマサービスの対応について評価されている点を教えてください。

病院には電子カルテをはじめ、診療を支援する部門システムや各種医療機器まで、あらゆるシステムがネットワーク上で稼働しています。そのためネットワークは今や最重要インフラであり、万が一にも止まることが許されない「ライフライン」と言えます。常に安定した通信環境と高い可用性の確保が不可欠です。

また構築にあたっては、電子カルテベンダーとの緊密な連携が欠かせませんでしたが、NTTデータカスタマサービスはシステムベンダー側に必要な設定にも主体的に関わり、円滑な構築を強力にサポートしてくれました。ネットワークトラブルはもちろん、システム全般についても手厚くサポートしていただけるため、非常に心強く感じています。

ベンダー間の調整力と24時間対応の保守対応体制

今回の更新で特に重要だったのは、電子カルテに関わる部分です。病院のIT基盤の中でもコアとなる部分を更新したため、そこが最も大きなポイントでした。もちろん、無線も有線もすべて重要です。ただ、ネットワークを更新する際には、どれだけ通信を止める時間を短くし、診療業務への影響を抑えられるかが非常に重要です。NTTデータカスタマサービスには、電子カルテをはじめ、関係する各ベンダーとも調整しながら進めていただきました。「可能であれば、もう少し時間を短縮できないか」という要望もありましたがネットワークを利用できない時間は、短ければ短いほうが望ましいため、電子カルテのベンダーなどとも調整しながら、診療業務への影響を最小限に抑えることに注力していただいたと感じています。また、各ベンダーとのやり取りについても、積極的に参加してもらい、日程調整などにも対応していただきました。もちろん当院側でも調整を行いますが、多くのベンダーが関わる中で、それぞれの調整をしっかり進めていただけた点は高く評価しています。さらに、これまでの保守契約のあり方についても、今回あらためて見直しました。ネットワークは病院にとって最も重要な基幹インフラの一つであり、万一のトラブルにも対応できる体制が必要です。今回、保守体制を見直し、24時間対応できる体制を整えていただきました。「実際に24時間、ある程度対応していただける環境ができたことには満足しています」と、山根氏はベンダー間の調整力と保守体制を評価しました。

内製化から信頼できるパートナーとの協業

以前は、いわゆる内製化の形で、職員がさまざまな業務を担っていました。対応できる人材がいる間は問題ありませんが、人手が不足してくると、どうしても難しくなります。職員のスキルにも差があり、以前に比べて院内で対応できる技術力が少しずつ低下しているという印象もあります。そのような状況の中で、NTTデータカスタマサービスのように、ネットワークの構築だけでなく、保守まで一貫して支援いただけるベンダーの存在は、当院としても非常に重要でした。また、ネットワークにとどまらず、さまざまな分野に精通しているので、話をしている中でこちらが気づいていなかったことを教えてもらうこともあります。「単に業務を委託するベンダーという関係ではなく、課題を一緒に考えてくれるパートナーとして、非常にありがたい存在だと感じています」と、西尾氏はNTTデータカスタマサービスへの信頼を語りました。

内製化から信頼できるパートナーとの協業

強固なインフラセキュリティ向上へ

今回整備したITインフラを活用し、今後取り組んでいきたいことや期待されていることを教えてください。

今回導入した仕組みを活かした今後の取り組みとして、ランサムウェアなどの脅威に対するセキュリティのさらなる向上に注力していきたいと考えています。セキュリティを厳しくすることで医療現場の業務に制限が生じてはならないため、「業務の円滑さ」と「高い安全性」を両立させることが重要です。また、必要なセキュリティ対策を負担の少ないかたちでコスト最適化していくことも欠かせません。今回構築した強固なインフラをベースに、当院の業務に寄り添った最適な提案と継続的な伴走を、今後もNTTデータカスタマサービスに大いに期待しています。

AI基盤やDXツール領域での支援にも期待

AI基盤やDXツール領域での支援にも期待

今後の課題として、やはり最も重要なのはセキュリティ対策です。医療機関がランサムウェアの被害を受けたというニュースも毎年のように報じられており、ネットワークセキュリティ強化は最優先で取り組むべき課題だと考えています。一方で、セキュリティ対策にはどうしても費用がかかります。どこまで対応するのか、費用とのバランスも考えながら、できる範囲で相談しつつ、今後さらにセキュリティレベルを高めていく必要があると考えています。また、最近は医療現場にもAIの活用が広がりつつあります。AIを活用するためにもネットワークは不可欠です。「そう考えると、今後はネットワークインフラに加え、AI基盤やDXツールといった領域についても、NTTデータカスタマサービスと一緒に取り組んでいければ」と、山根氏は今後への期待を語りました。

今後の展望

約3年にわたり、院内基幹ネットワークおよび仮想化基盤の刷新を実施しました。

これにより、医療情報システム全体の安定稼働を支える“安定した”医療インフラ基盤の構築に一区切りがつき、電子カルテシステムをはじめとする多様な医療データの連携・利活用を推進しやすい環境が整備できました。今後は、当社が院内基幹ネットワークの安定稼働を支えていきます。

また、当社は今後も堺市立総合医療センター様のIT基盤の安定稼働を引き続き支えるとともに、昨今高まるセキュリティ脅威への対策強化や、医療DXのさらなる推進について、企画・提案から構築、運用まで一貫してご支援してまいります。

今後も、システムを通じて地域医療のさらなる発展に貢献し、堺市立総合医療センター様の信頼できるパートナーとして伴走してまいります。

地方独立行政法人堺市立病院機構

〒593-8304 堺市西区家原寺町1丁1番1号