港区内の公共施設の維持管理を担当する港区各地区総合支所まちづくり課。エリアごとに分けた5地区の総合支所が存在している。
その中でも、麻布・六本木エリアは観光客によって常に混雑しており、六本木三丁目児童遊園でも治安の悪さやごみ問題に関する犯罪や迷惑行為の発生が懸念されていた。
今回再整備した六本木三丁目児童遊園については、治安維持のために柵を設けた上で夜間は施錠して侵入できないよう対策していたが、閉鎖的で人が寄りつかない雰囲気は迷惑行為や不法投棄などの温床となり、2011年には住民から治安改善を求める要望書が提出されていた。
それでも予算や人員の問題から対応は限定的だったが、2021年からは地域住民との協議を重ねながら道路や公園の再整備が進行。住民生活の安心・安全を確保するための取り組みの一環として、AI防犯システムの導入の検討が始まった。
AI防犯システムの選定にあたり、港区まちづくり課が重視したのは「技術の精度」や「運用の柔軟性」、そして「費用対効果」。ベンダーを検討する中で、NTTデータカスタマサービス社が提供する"人の骨格を検知して不審行動を解析する技術"が、屋外環境下でも高い精度を発揮し、迷惑行為をリアルタイムで検知することが可能と知る。
港区麻布地区総合支所まちづくり課の飯塚氏は選定の決め手について、
「当技術は、従来の音声検知システムと異なり、雑音が多い環境でも誤検知を抑えることができる点で優れていました。不審行動の検知項目は100種類以上あり、AIによる学習によって今後さらに増えていきます。また、クラウドベースのシステムにより、現地で大規模なサーバーを設置する必要がなく、設備のコンパクト化と故障・破壊リスクの低減が実現できることも好印象でした。
さらに、既存のIPカメラを活用できるため、新規の設備投資を抑え運用コストを低く維持できることが決定打になりました」と語った。

港区麻布地区総合支所まちづくり課
飯塚 陽子 氏
2011年には住民から治安改善を求める要望書が提出されたが、一時的な対応に留まっている状況だった。そんな中、2021年から地域住民との協議を重ねながら道路や公園の再整備計画が進行。住民の安心と安全を確保する取り組みの一環として、NTTデータ カスタマサービスが提供する「AI防犯システム」の導入を決定した。
導入後、迷惑行為の発生件数が大幅に低下するなど状況が大きく改善されたことで、住民から安心の声が聞かれ満足度も向上している。
現状と課題
- 管轄する六本木三丁目児童遊園において迷惑行為や犯罪が発生しており、住民の不安が高まっていた
- 限られた予算と人員の中で、24時間体制の警備員配置は困難
- システム導入に対して住民の理解を得ることへの課題があった
導入後と効果
- AIによる迅速な不審行動の検知と即時対応が可能に
- システム設置の抑止効果によって迷惑行為の発生件数が大幅に減少
- 治安維持のための柵の設置や夜間施錠をなくし、景観が改善
技術の精度や運用の柔軟性、費用対効果が決め手
迷惑行為をリアルタイムで検知が可能に

AI防犯システムが抑止力に
地域の美観が向上し、住民満足度も飛躍的にアップ

六本木三丁目児童遊園

作動中のAIカメラ
以前から区内には防犯カメラが設置されていたが、その活用方法は通報を受けて警察官が駆け付けたのち、事実確認・分析のために映像をチェックするという事後利用だった。
この点について飯塚氏は、「システム導入によりAIカメラで喧嘩や迷惑行為など不審な行動が検知された場合には5分以内に巡回員が現場へ急行する体制が整備され、迷惑行為の件数は大幅に減少。
当初は月に80件ほどの不審行動が検知されると想定していましたが、実際には10件程度に留まり、AI防犯カメラが抑止力として機能していることも明らかになっています」と、防犯カメラの役割そのものが変わったと評価。
AIによる検知・通報のシステムについて、設置しているサイネージ画面で訴えるなど周知されていることも効果を高めている要因となっているようだ。
また、以前はゴミの不法投棄が多く、45ℓのゴミ袋が毎日5~6個捨てられているような状態だったが、カメラ設置後は半分以下に減少。地域のゴミ指導を担当する協働推進課とも共同で、安全面だけでなく街の様々な問題解決に取り組んでいる。
飯塚氏によると、今回のシステム導入が児童遊園の治安改善に留まらず街全体の環境改善にも波及していると評価され、住民からは「安心して利用できるようになった」「景観が良くなって嬉しい」「以前からは想像できなかった治安の良さだ」との声が寄せられているそうだ。

今後期待していること
画像解析による不審行動検知で高精度かつ即時の対応が可能に
~AI防犯システム導入で地域の安全性向上を実現~
住民の強い要望を受けてAI防犯システムの導入を進めたものの、導入段階では不安を訴えたり効果に懐疑的だったりする住民もいたという。「そのような声に対し、NTTデータカスタマサービス社の担当者が説明会に参加して直接住民の皆さまに説明してくれて助かりました」と飯塚氏。
導入後の変化については、「児童遊園という名前でありながら、かつては近づかない方がいい場所とされていた場所が、今では子どもたちや親御さんが安心して利用できる空間へと生まれ変わりました。この成功が地域の未来を明るく照らしていくことに繋がっていきます」と力強く語った。
今後は、夜間の迷惑行為や喫煙、立ち小便などの課題に対し、スピーカーやサイネージを活用した注意喚起にも力を入れるとともに、他エリアへの展開も検討中だ。
飯塚氏は「NTTデータカスタマサービス社のAI防犯システムは、柔軟なカスタマイズ性や費用感はもちろん、地域のニーズに応じた運用が可能で、導入しやすいのが魅力です」と評価する。
NTTデータカスタマサービスは、今後もAIを活用した効果的な運用方法をご提案し、企業や地域のみなさまの安全なくらしをサポートする。
お客様情報

港区麻布地区総合支所まちづくり課
住所 | 東京都港区六本木5丁目16番45号 |
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ホームページ | https://www.city.minato.tokyo.jp/ (外部サイトへ移動します) |