国際通信規格[IEEE1888]を活用したソリューションを提案。
「電力の見える化」「負荷抑制」を実現する、環境システムの構築・運用をサポート。

-東京工業大学様-

1881年の創立から130余年、「世界最高の理工系総合大学」という目標を掲げ、常に時代の先端を切り拓いてきた東京工業大学(以下、東工大)様。2012年には、大岡山キャンパスに環境エネルギーイノベーション棟(以下、EEI 棟)を竣工。環境エネルギー研究の推進と災害時の効率的なエネルギー供給を目指した「グリーンヒルズ構想」の中心的役割を担う研究施設として期待されている。
NTTデータカスタマサービスは、電力の「見える化」と「負荷抑制」を可能にするソリューション「Remote One ~節電・省エネサービス~」をベースに、スマートグリッド管理システム「エネスワロー(Ene- Swallow)」を東工 大と共同で構築。世界に先駆けた研究開発の推進をサポートし、新たな産業分野の開拓に貢献する。

ご依頼内容

  • 複数のサブシステムを一元化して管理するエネルギー環境システムを構築したい
  • 建物全体の電力を「見える化」し、適正な負荷抑制を実現したい
  • キャンパススマートグリッドの構築・運用を通して社会貢献へと展開していきたい

提案

  • 「IEEE1888」を活用した節電ソリューションの応用提案を実施
  • ベンダ間の相違を超え、電力情報の計測・集約を可能にするシステムの構築
  • 「電力の見える化」により、ユーザーに無理のない空調の負荷抑制を実現

国際通信規格を活用したスマートグリッドで、電力の「見える化」と「負荷抑制」を実現

東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻 環境エネルギー機構 伊原学准教授・博士(工学)

東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻
環境エネルギー機構
伊原学准教授・博士(工学)

近年のITやエレクトロニクス技術の進展によって、世界的に電力需要が増え続けているなか、これまでの電力ネットワークを抜本的に見直し、新しい電力網の整備とエネルギーの有効利用を推進していくことが不可欠になっている。そこで、電力の需給バランスをリアルタイムに把握し、平準化させる仕組みである「スマートグリッド」の構築が求められるようになった。
東工大・大学院理工学研究科の伊原学准教授は、EEI棟の建設とスマートグリッド管理システム導入に至った経緯を次のように語る。
「これからのエネルギー問題においては、化学や電気、材料、機械、人文社会系等を含めて、様々な分野が融合して解決に向かっていく必要があると考えています。その取り組みを具体化する象徴的な建物としてEEI棟は建設されました。棟内には太陽電池や燃料電池、空調管理設備等が設置され、電力の自給自足が可能になるようそれぞれ独立したシステムで管理されていました。完成から約一年が経ち、それら複数の機器情報を集約して、一括で管理する仕組みをつくりたいというのがシステム導入のきっかけです。機器ごとに独立したシステムから、情報を一括して一つのサーバに落とし込む仕組みをつくるためにはどのような方式が有効なのかを徹底的に議論しました。その結果、様々な情報システムを機器・ベンダーの枠を超えて連携可能にする「IEEE1888」通信規格を活用したNTTデータカスタマサービスのソリューションが最適だという結論に達したのです。一つの規格に無理やり合わせるのではなく、各デバイスの強みや特長を生かしながら最大公約化できる柔軟性をもった方式であるという点が採用を決める上での大きなポイントでした」。

既存デバイスの特長を活かした効率的なシステムを構築

【Ene-SwallowTOP 画面】太陽光発電量・受電電力量・燃料電池発電量が一目で分かるようになっている

Ene-SwallowTOP 画面
太陽光発電量・受電電力量・燃料電池発電量が一目で分かるようになっている

今回構築したスマートグリッド管理システムは、太陽電池・燃料電池からの発電情報、各配電盤からの電力消費情報、外気温や日射強度などの気象情報を集約取得する。
「IEEE1888」に規格化するマルチゲートウェイを採用したことで、異なるプロトコルを有する各デバイスを接続し、データの集約化、蓄積が可能になった。そうして取得した膨大な情報からユーザーに役立つ情報を選択、一般化し「電力の見える化」を行う。また、設定温度や受電量などから自動的に、かつユーザーに無理のない方法で空調の負荷抑制を行う機能を持っている。さらに、各デバイスの動作原理に基づいた独自の按分式を用いることで、最小限の電力計で正確な電力按分が可能になり、低コスト化も実現できる。
「情報通信分野で実績のあるNTTデータカスタマサービスとエネルギー学が専門の私たちがコラボレートして工夫を重ねたことによって、システム全体の効率を最大化することができました。今後は、さらに範囲を広げた高度な制御も可能になってくると考えています。そのための最初のステップとして一早く最新の規格である「IEEE1888」を活用したNTTデータカスタマサービスのソリューションを採用したことは、将来的にも非常に適した選択だったと思います」と伊原准教授。

公平な立場でプロジェクトを推進。電力情報の計測・集約が可能に

ベンダ7社、合計4570枚の太陽電池パネルがEEI棟の外壁を取りまいている

ベンダ7社、合計4570枚の太陽電池パネルが、
EEI棟の外壁を取りまいている

エネルギーを効率的に利用して、環境に優しいスマートな社会システムを実現するという目的のもとで導入された、今回のスマートグリッド管理システム。既存の電力設備を用いながらデータの計測・集約を可能にするためには、ベンダ間の相違を超えた情報提供等の協力が不可欠であった。
「このシステムは元々、都市に展開することを目指していますから、今あるものはそのまま活用していきたいというのが基本的な考えとしてあります。そういう意味でも異分野の融合が必要だったのですが、当初は各メーカーの協力がどこまで得られるか正直不安でした」と伊原教授は振り返る。
その不安を払拭したのがNTTデータカスタマサービスである。「NTTデータカスタマサービスが非常に公平な立場で中心的な役割を果たしていただき、将来的な発展性と新たなビジネスチャンスの可能性を感じてもらえたのではないかと思います。大変だけれども、実現できたらすごいことになるということが分かった瞬間に、プロジェクトが前進する大きな力が生まれたように感じています。制約があるなかで、それでもぎりぎりのところまで熱意を持って取り組んでいただいたからこそ、今回のプロジェクトを成功させることができました」。

環境システムの構築を通じ、社会貢献へと展開

学生用のログインIDも用意され、研究に活用されている

学生用のログインIDも用意され、
研究に活用されている

「今後の展開として、分散型発電機を増設して、現状ではEEI棟内で閉じているスマートグリッド管理システムを学内全体に広げていきたいという構想もあります。1つの建物の電力需要だけではなく、複数の建物の電力需要を計算できるようになり、やがてはキャンパス単位、地区単位、そして都市単位へと発展させていくことも可能になるでしょう」(伊原准教授)。
NTTデータカスタマサービスは、これからもシステムの構築・運用を通して東工大の研究および社会貢献活動をサポートしながら、共に課題を解決するビジネスパートナーとして更に高品質なソリューションを提案していく。

東京工業大学 システム構成図

お客様情報

東京工業大学

住所 大岡山キャンパス 東京都目黒区大岡山2-12-1
沿革 1881年 東京職工学校設立
1901年 東京高等工業学校と改称
1929年 東京工業大学へ昇格
1949年 国立大学設置法公布により、国立東京工業大学新設
1975年 長津田キャンパス(現在のすずかけ台キャンパス)開設
2004年 国立大学法人東京工業大学設立
2010年 環境エネルギー機構を設置
ホームページ http://www.titech.ac.jp
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お客様事例:東京工業大学 [2ページ:573KB]

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